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河合雅司「人口減少ニッポンの活路」

【大学2026年問題】国立大学すら定員割れは時間の問題…文科省も「大学じまい」に舵を切ったが、そのタイミングはあまりに遅すぎた

あまりにも時間が足りない

 もし30年前に「大学じまい」に取りかかっていれば、状況はまったく違っていただろうが、これまでの政策の影響もあって大学関係者たちの意識には拡大路線が染みついてしまっている。

 統合と言われても、そう簡単に提携先が見つかるわけではないだろう。提携先はどこでもよいわけでもない。似た課題を抱えた大学同士が一緒になっても問題は解決しない。

 地方自治体に至っては、いまだに大学を「地方創生」の重要なツールと位置付けている。文科省がいまさら旗を振ったところで、どこまで実効性があるかは不透明だ。あまりに時間が足りない。

 結論を述べるならば、「2026年問題」はこれまで先延ばしにされてきた大学の“倒産”をいよいよ本格化させるであろう。

 事態がここに至っては、もう無理な延命策を講じるべきではない。これからすべきは、生き残る大学を「人口減少社会にとって真に必要な大学」へと生まれ変わらせる“質の改革”である。

■前編記事:【大学2026年問題】定員充足率が初めて100%を下回り「大学全入時代」に新たな局面 「激減する18歳人口の奪い合い」の行き着く先

【プロフィール】
河合雅司(かわい・まさし)/1963年、名古屋市生まれの作家・ジャーナリスト。人口減少対策総合研究所理事長、高知大学客員教授、大正大学客員教授、産経新聞社客員論説委員のほか、厚生労働省や人事院など政府の有識者会議委員も務める。中央大学卒業。ベストセラー『未来の年表』シリーズ(講談社現代新書)など著書多数。話題の新書『縮んで勝つ 人口減少日本の活路』(小学館新書)では、「今後100年で日本人人口が8割減少する」という“不都合な現実”を指摘した上で、人口減少を前提とした社会への作り替えを提言している。

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