米ロ接近で国際政治はどう変わるか(左からプーチン大統領、トランプ大統領/時事通信フォト)
トランプ米大統領がブチ上げた「ウクライナ停戦」は世界に衝撃を広げた。ロシアのプーチン大統領と協議を進めようとするトランプ氏と、それに反発するウクライナのゼレンスキー大統領が批判の応酬を繰り広げた。この停戦をめぐる動きをきっかけに、世界の勢力図は大きく塗り替えられようとしている。と同時に経済にも様々な変化がもたらされるだろう。ジャーナリストの池上彰氏と作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏が緊急対談、本記事では、ロシアとアメリカの対立構造の変化について読み解く。
プーチンが攻勢に出る
池上:プーチンが「ドナルドと会いたい」とファーストネームで呼んだのは驚きでした。急激な米ロ接近を印象づけました。
佐藤:そうやって米ロ首脳会談をするからにはプーチンも結果を出さないといけない。ハシゴを外されたウクライナが反米国家になるかもしれない。今回の動きをきっかけに、国際政治の“ゲームのルール”が変わる可能性があります。
池上:おぉ、というと?
佐藤:私は米ロ首脳会談の実現にはやや時間がかかると見ています。というのも、ロシアがどうもこれを機に米ロ関係の全面的な立て直しを考えているようだから。政治的な合意だけだとトップが代わればひっくり返るものですが、そうさせまいと、ロシアは経済分野まで踏み込んで包括的な関係改善を探っています。
池上:バイデン政権はデカップリング(経済切り離し)を進めてきましたよね。
佐藤:ロシアもアメリカと対立が続くと考えてきたけれど、ここにきて急速に発想が変化している感じがします。欧州に対抗し、米国と手を握れる可能性があるぞ、と。
池上:攻勢に出る絶好の機会と捉えたわけだ。
佐藤:撤退したアメリカ企業をもう一度呼び戻す。あるいは北部ヤマール半島の天然ガスなど鍵になる開発プロジェクトを共同で行なうことも視野に大きな絵を描き始めている。実業家のイーロン・マスクのようなトランプ政権周辺のビジネスマンとも一定の話をしている節がある。