「トランプ関税」もリスク要因に(写真/EPA=時事)
4万円台には届かないものの、日経平均株価は堅調さを保っているように見える。しかし、気づかぬうちに「危機」が足下まで迫り、市場では不穏な空気が流れ始めた。トランプ米大統領が矢継ぎ早に繰り出す政策は、各国を振り回し、世界経済の不透明感が高まっている。
危機の芽は、まず米国で顔をのぞかせた。ニューヨーク株式市場でダウ平均株価が一時800ドル超の大幅下落となったのは、2月21日のこと。米国の景気動向を示す指標が想定を下回り、トランプ大統領がもたらす関税強化や地政学的リスクが嫌気された。元みずほ総合研究所主席研究員で多摩大学特別招聘教授の真壁昭夫氏が解説する。
「続落していたニューヨークダウは週明けの24日も小幅な反発にとどまり、ハイテク株の多いナスダック総合指数は3日続落となりました。それを受けて25日の日経平均が下落するなど、投資家心理の悪化が窺えます」
米著名投資家で「投資の神様」として知られるウォーレン・バフェット氏は、米国の金融株を売却し、景気に左右されにくいディフェンシブ銘柄へシフト。現金の保有割合を高めて、株価下落に備えた「守り」を固めたと見られている。好調と目されてきた米国経済に異変が見え始めたのだ。
「米国では商業用不動産の価格下落が進み、低所得者層のクレジットカードの延滞率が上がっている。ほかにも、寒波や山火事など天災による個人消費の落ち込みも見られます」(真壁氏)
追い打ちをかけるのが「トランプ関税」だ。こころトレード研究所所長の坂本慎太郎氏が言う。
「過激な関税強化に踏み切れば、輸入品の価格上昇に伴って米国内のインフレが加速するのは必至です。米国景気が悪化すれば、世界経済に影響が広がる。米国発の株価急落リスクは常に意識しておく必要があります」