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ビジネス
中国人カップル「コメ転売の現場」直撃

中国人向けSNSで活発にやり取りされるコメ転売〈本日新潟コシヒカリ15袋入荷〉〈千葉の米わずかに入荷。東京付近配送可能〉など 直接農家を訪ねてくる中国人も

コメ高騰で備蓄米を放出する事態に(倉庫内に積み上げられた政府の備蓄米。時事通信フォト)

コメ高騰で備蓄米を放出する事態に(倉庫内に積み上げられた政府の備蓄米。時事通信フォト)

 米の価格高騰が止まらない。政府は備蓄米の放出を発表したが、この事態に乗じて急増しているのが“転売ヤー”だ。彼らは何者で、いかにして“商品”を仕入れ、どのように売っているのか──実態に迫った。【前後編の前編】

 2月上旬、厳寒の新潟県。“売り主”に指定されたスーパーの立体駐車場に赴くと、男女2人組が白いミニバンに乗って現われた。車から男女が降り、訝しげな表情の女性が早口の中国語で「どこから来たのか」など聞いてくる。「コメの転売ヤー」と接触した瞬間だ。

 昨年夏頃から続く米の価格高騰は収まる気配がない。農水省によると今年1~2月の5kg当たりの平均小売価格は3688円と、前年同期比82%増だった。都内のスーパーなどでは5kgのコシヒカリが1袋4000円超で売られるケースも見られる。

 2月14日、農水省は政府備蓄米100万トンのうち15万トンを市場に放出すると発表。価格高騰の理由が「米の流通の目詰まり」にあるとし、その「円滑化」を目的に備蓄米を放出するという。

 そもそも2024年産米の生産量は前年比18万トン増と不作ではなかった。

「令和の米騒動」が起きた要因について、農業ジャーナリストの松平尚也氏は「農水省による長年の需給調整の影響」と「業者間の在庫確保競争」を指摘する。

「農水省は米の消費量減少に応じて生産を抑制する政策を長年続けました。供給に余裕のない状況が常態化するなか、インバウンド需要を含む消費の回復などが要因となって、昨年6月末時点の米の民間在庫量は前年同期比41万トン減と記録的な低水準に陥りました。

 この在庫不足が昨夏の価格高騰を招き、新米の流通以降も多くの業者が在庫確保に動きました。農協の買取価格より高値で取引する業者が増え、さらなる価格高騰を招いたと言えます」

次のページ:生産コストを考えたら農協より業者のほうがいい
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