佐藤:私はトランプの権力基盤は固まっていると見ています。が、唯一の懸念は「暗殺」です。後継の体制が定まらないうちにこれが起きると、トランプに代わる人間はいないから、再びカオスになる。
池上:恐ろしいことを言いますね。毎日トランプさんのニュースに接していると、振り回されるゼレンスキーさんやガザの人たちが気の毒になります。その優しさは大切ですが、リアルな国際政治は佐藤さんが指摘するような冷徹な論理によって動いているのも確か。「新帝国主義の時代」と向き合うのは辛いことですが、現実を知るところから始める必要がありそうです。
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構成/広野真嗣(ノンフィクション作家)
【プロフィール】
池上彰(いけがみ・あきら)/1950年長野県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、1973年NHK入局。1994年から「週刊子どもニュース」のお父さん役を11年務め、2005年よりフリージャーナリストとして活動。名城大学教授、東京工業大学特命教授。著書に『池上彰の世界の見方 ロシア』『一気にわかる!池上彰の世界情勢2025 トランプ再選で日本と世界はどうなる編』など。
佐藤優(さとう・まさる)/1960年、東京都生まれ。元外交官、作家。同志社大学大学院神学研究科修了後、外務省入省。在露日本国大使館などを経て外務省国際情報局に勤務。現在は作家として活動。主著に『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』、近著に『賢人たちのインテリジェンス』『佐藤優の特別講義 戦争と有事 ウクライナ戦争、ガザ戦争、台湾危機の深層』など。
※週刊ポスト2025年3月14日号
ジャーナリストの池上彰氏
“外務省のラスプーチン”と呼ばれた元外交官で作家の佐藤優氏