モリタク流「お金に縛られない」鉄則
老後に求められるのは、こうしたお金のかからない「生きる喜び」だと森永さんは説くのだ。
東京などの大都市ではグルメやショッピング、音楽や舞台などお金を払えばさまざまな楽しみを享受できる。一方、お金をかけなくても自らの楽しみを追求することで豊かな老後を楽しむ人々もいる。
大切なのは、自分の教養レベルを上げることだと森永さんは提言する。それにより、エンターテインメントさえも「自給」できるという。
「大都市以外には、お金のかからないエンターテインメントがいくらでもある。例えば、草原に寝っ転がって空を眺めていれば、さまざまな雲が流れてくる。小鳥のさえずりが聞こえてくる。近所を少し歩くだけで、さまざまな植物が芽を出し、花を咲かせている。
ただし、それらを楽しめるかどうかは、その人の持つ教養レベルに大きく依存する。雲の名前、鳥の名前、虫の名前、植物の名前を知っているかどうか。どこにきれいな湧き水があるのか。どこで魚釣りができるのか。どこに秘湯があるのか……。それを知らなければ、田舎は楽しくない。
逆に言えば、教養レベルを上げれば、エンターテインメントを楽しむために、わざわざムリをして働く必要はなくなるということだ」
本質を見極め、考え方を転換すればお金に囚われることなく豊かな老後を送ることはできる。
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【プロフィール】
森永卓郎(もりなが・たくろう)/1957年7月12日生まれ。東京都出身。経済アナリスト、獨協大学経済学部教授。テレビやラジオのコメンテーターとしても活躍。2025年1月28日に逝去(享年67)。森永さんが実践を通して綴った遺稿は『森永卓郎流「生き抜く技術」31のラストメッセージ」(祥伝社・3月3日発売)に詳しく掲載されている。
※週刊ポスト2025年3月14日号