現在の日産自動車を取り巻く構図
みずほとホンダの動きに鴻海が協力するシナリオ
そこで想定されるのが、みずほとホンダの動きに、台湾の鴻海精密工業が協力するシナリオだ。21日には鴻海がホンダに協業を提案したと報じられた。
「ホンダと鴻海が協力して日産の子会社化に動き、それが成功すれば、鴻海のEV事業の責任者である関潤氏を日産の社長に送り込むシナリオも出てくる可能性がある」と見る関係者もいるほどだ。
関氏は2019年12月末まで日産ナンバー3の副最高執行責任者を務め、構造改革担当として日産の内情を知り尽くしている。内田氏と違って思い切った経営判断ができるタイプとの声もあり、「再建役」としては適任だろう。
このスキームが成立すれば、日産、ホンダ、三菱自動車の3社連合に加えて鴻海が加わる「日台企業連合軍」の結成につながる。テスラが動いて、日米の連携が生まれるのか、それとも日台の連合が誕生するのか。
今後、日産を巡る水面下での駆け引きの動きが活発化していくことは間違いない情勢にある。
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【プロフィール】
井上久男(いのうえ・ひさお)/ジャーナリスト。1964年生まれ。大手電機メーカー勤務を経て、朝日新聞社に入社。経済部記者として自動車や電機産業を担当。2004年に独立、フリージャーナリストに。主な著書に『日産vs.ゴーン 支配と暗闘の20年』などがある
※週刊ポスト2025年3月14日号