《年金暮らしの家計の内訳をシミュレーション》「無職夫婦で持ち家あり」なら“夫婦の年金月額14万円”が赤字になるかどうかのボーダーライン

月28万円は余裕のある数字。平均では到底不足

　2023年の総務省の家計調査によると、65才以上の夫婦のみの無職世帯では1か月に約28万円、単身者では約15万8000円の支出があるという結果が出ている。ところが、前出の厚労省調べでは、国民年金のみの平均月額は5万7584円。夫婦で同額をもらっても月額11万5168円と、月約17万円もの赤字になる計算だ。

　本誌読者の場合でも、夫婦2人の年金受給額の月平均が20万8354円（2025年）なので、月約7万円が足りなくなる計算だ。

「別掲の表は、国民年金世帯の受給額平均に近い10万円から、総務省の調査で出た28万円の間で、65才以上の無職夫婦が、どう家計を振り分けたら赤字が出ないか試算したもの。その結果、ボーダーラインは14万円に。それ以下では赤字になります」（ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さん・以下同）

　つまり、28万円なくても、14万円あれば生活できる、というわけだ。ただし、この試算では持ち家を条件としている。住居関連費の1万円は固定資産税を月割りにした金額。年金受給後も家賃を払う必要がある場合は、これに家賃分の支出が加算される。

「足りない分は、貯金を取り崩すか、労働収入で埋める必要があります」