【見方2】金利は景気の体温計
私は、米金利は「景気の体温計」としても捉えられると考えています。つまり、景気の先行きが悪化すると、将来的に企業業績にも影響が出るため、同期間に金利が低下していたとしても株価が下落することがあるということです。
2025年に入り、トランプ政権が誕生した以降、関税のニュースが連日報じられ、世界景気の不透明感が強まっています。特に、2月19日には自動車や医薬品などに対する25%の輸入関税について言及があり、市場はリスクを意識する展開となりました。
さらに、2月21日に発表された企業活動を示す製造業購買担当者景気指数(PMI)では、サービス部門が2年ぶりの縮小に転じ、総合PMIは50.4と17ヶ月ぶりの低水準に落ち込みました。
また、同日に発表されたミシガン大学消費者態度指数(確報値)では、速報値から大きく低下する一方で、5~10年先のインフレ期待は3.5%と1995年以来の高水準に上昇しました。
こうした関税による景気先行き懸念の高まりから、安全資産である国債が買われ(金利は低下)、株価が下落する局面が続いたのです。
同じ方向に動いた背景を分析することでリスク管理を
では、今後は米金利と株価が反対に動くのか。それとも同じ方向に動くのか。
短期的な予測は非常に難しいですが、一つ言えるのは、長期的には金利と株価は反対に動くことが多いという点です。
そのため、反対に動くことを前提に考えつつ、同じ方向に動いた場合はその背景となる材料を確認し、景気の動向を注視することがリスク管理のヒントになるかもしれません。
また、最近の株価下落によって、主要指数にはいくつか売りサインが出ています。特に、決算を終えたエヌビディア株の影響を大きく受けるSOX指数(半導体指数)は、中長期的なトレンドを示す週足チャートにおける主要な移動平均線(13週、26週、52週)が下向きに転じ、下落トレンドへの転換が懸念されています。
SOX指数週足チャート 2月28日終値時点、52週移動平均線を表示。前週と比較してわずかに線が下向きに転換している。TradingViewより筆者作成
このように、テクニカル分析と経済指標・ニュースを組み合わせることで、より多くの市場のヒントが見えてくることも事実です。
現在は新たな関税リスクや地政学リスクなどの不透明な材料が出てきていますので、よりリスク管理を徹底していきましょう。
【プロフィール】
森口亮(もりぐち・まこと)/個人投資家、投資系YouTuber。1983年、埼玉県生まれ。元美容師。「Excelで決算数値を管理して、有望な成長株を中・長期的に狙う」という手法で資産を10倍に。その後も着実に資産を増やしている。著書に『1日5分の分析から月13万円を稼ぐExcel株投資』(KADOKAWA)がある。YouTube「毎日チャート分析ちゃんねる」やnote(https://note.com/morip)を日々更新中。