中国を批判できなくなる
峯村氏は、今後も米国がロシアに接近する流れは強まるとみる。
「もともとトランプ氏は“ロシア・ラブ”でプーチン大統領とディール(取引)がしたい。一方、その取り巻きのバンス氏やルビオ国務長官は中国と対峙するためにロシアとの関係を深めたい思惑がある。両者は同床異夢ながら、米国の親ロ路線は加速するとみられます」(峯村氏)
米ロの関係が深まることで動向が注視されるのが“もうひとつの大国”である中国だ。
中国は、ウクライナ侵攻で国際的に孤立したロシアとの関係を深めてきた。その蜜月に楔を打つ格好に見える米ロ接近だが、むしろ習近平・国家主席にとって好都合な展開につながる可能性もあるという。
峯村氏は、トランプ氏が米メディアに、ウクライナに関して「いつかロシア領になるかもしれないし、ならないかもしれない」と発言したことに着目する。
「トランプ氏の発言は、ウクライナの領土割譲を容認するようなニュアンスで、そうなれば“力による現状変更”を米国が認めたことになる。習氏からすれば、“では、我々が力で台湾を奪っても誰も文句は言えませんね”という主張になる。習氏にとって有利な状況が整ってきたと考えているでしょう」
また、トランプ氏はデンマーク自治領のグリーンランドについて「国家の安全保障上、必要だ」として所有への意欲を繰り返し表明している。資源開発などをめぐる“ディール”のための発言とする見方もあるが、軍事力を行使する可能性を排除していない点は見逃せない。
「力を背景にしたトランプ氏のグリーンランドをめぐる意向が通るなら、なおのこと中国が台湾併合に動いても米国が批判する道理はなくなります」(同前)
* * *
マネーポストWEBの関連記事《【図解:中国が目論む台湾の海上封鎖】“霞が関の頭脳”が集結した「習近平の台湾制圧」極秘シミュレーションの決着 日本はトランプ大統領にハシゴを外される厳しいシナリオも》では、中国による台湾制圧シミミュレーションの意外な決着について詳報している。
※週刊ポスト2025年3月21日号