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投資
伝説のプログラマーが説く「メタトレンド投資」の極意

「少し出遅れてもまったく問題ない」2014年にエヌビディアに投資した“伝説のプログラマー”中島聡氏が説く「メタトレンド投資」の大きな強み

メタトレンド投資は「出遅れ組」にも優しい

 メタトレンド投資には大きな強みがあります。

 それは「少し出遅れてもまったく問題ない」という点です。あるメタトレンドが広く認知され、多くの人々が「これは来る」と思いはじめた段階で投資をはじめても、決して遅すぎることはありません。

 NVIDIA を例に挙げましょう。2012年ごろの段階で「GPUがAI時代の主役になり、NVIDIA がその中心に立つ」と確信し、NVIDIA に自信を持って投資するのはAI研究者であっても困難だったはずです。

 テクノロジー業界には目を光らせている私でも、その時点でAIのメタトレンドを把握したり、NVIDIA への投資判断を下すことはできませんでした。

 しかし、2018年になると状況は大きく変わります。NVIDIA のCEOがAIに本気で取り組むことを明らかにし、株価が徐々に上昇しはじめました。かつてAIがチェスの世界王者を打ち負かす出来事が話題になったこともあり、このころには「AIが本格的な力を持ちはじめた」という雰囲気がテクノロジー業界以外でも感じられるようになっていました。

 テクノロジーのトレンドに敏感な方であれば、そこでNVIDIA の存在感やポテンシャルに気づくことができたはずです。

「2018年の段階ではもう出遅れているのでは」と思う方もいるかもしれませんが、その時点でもNVIDIA の成長はまだ序章にすぎなかったのです。現在(*注:2025年2月)の株価は約130ドル~150ドルを行き来していますが、2018年末のNVIDIA 株価はわずか3.34ドルほどでした。つまり、「AI時代が来る!」というメタトレンドを肌で感じられるようになった2018年から投資をはじめていても、その後の大きな上昇余地が十分残されていたのです。

 さらに2022年末にはChatGPT が登場し、AIブームは誰の目にも明白なものになりました。メディアも一斉に「AI時代が到来」と報じ、AIにさほど関心がなかった人ですら、その衝撃を感じられるようになりました。

「さすがにこの段階での投資は遅い」と思うかもしれませんが、実際にはそうではありません。2022年末のNVIDIA 株価は約14.61ドルであり、このタイミングから投資をはじめてもその後、株価が約10倍近くも上昇することになるからです。つまり「ChatGPT がすごい」と世間やメディアで騒がれた段階、もっと言えば一見ブームに少し乗り遅れたと思われるようなころから投資をはじめても、十分すぎる恩恵を受けることができました。

 なぜこのようなことが起きるのでしょうか。メタトレンドは、一夜にして世界を塗り替えるわけではなく、徐々に火がつき、勢いを増し、最終的には社会や産業構造を根底から変えていく長期的な現象だからです。

 NVIDIA の場合、2012年、2018年、2022年と何度か「気づくチャンス」がありました。2012年に気づいて投資していれば理想的ですが、それが難しければ2018年、さらに出遅れたとしても2022年から投資をはじめるという選択肢があったのです。

 結局、メタトレンドは長い時間をかけて顕在化します。

 なるべく早い段階で参入できればもちろん良いですが、ある程度はっきりとトレンドが見え、多くの人が「これは間違いない」と感じはじめてから参入しても、成長の余地はまだ残されています。スロースターターや出遅れ組でも間に合う。これがメタトレンド投資の優れた点なのです。

 こうした点を踏まえると、なるべくリスクを抑えたい人は、メタトレンドが一般人でも体感でき、「もう間違いない」と思える時期まで待ってから投資をはじめることもひとつの戦略となるでしょう。

次のページ:メタトレンド投資が誇る「安定感」と「余裕」

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