トランプ政権の動きひとつで世界の株式市場が影響を受ける(Getty Images)
予測不能な政策を次々と打ち出し、世界経済に混乱をもたらすトランプ米大統領。そのトランプ政権の進む先を左右するとされる存在が、実業家として政権入りしたイーロン・マスク氏だ。同氏の言動などが引き金となって、日本を含む世界経済がかつてない危機を迎える可能性があるという。【前後編の前編】
トランプ政権が始動して2か月。米国経済が変調を来している。3月の第2週には米国株が大幅下落。NYダウは週半ばまでに約1500ドルの急落を記録した。
きっかけはトランプ氏が9日のテレビ局のインタビューで「米経済は過渡期を迎える」との見通しを示したことだった。景気の下支えよりも関税引き上げなどの政策を優先するとの見方が広まり、10日の米国市場は急落。翌11日には東京市場にも影響が広がり日経平均は半年ぶりに3万6000円を割った。
トランプ政権の動きひとつで米国経済だけでなく、日本を含む世界経済が大きな影響を受けることが改めて知らしめられた。
トランプ政権内部の亀裂が明らかに
そして、ただでさえ動きの読めない同政権内で“さらなる不確定要素”として動きが注目されているのが、トランプ氏に多額の選挙資金を提供し、大統領選勝利を受けて政権入りを果たしたイーロン・マスク氏だ。
EV(電気自動車)メーカーのテスラやX(旧ツイッター)の経営トップを務めるマスク氏は、“大統領の上級顧問”という立場。さらに、新たに立ち上げられた政府効率化省(DOGE)を率い、政府職員の大幅な人員削減などを進める。
事業停止で解雇された国際開発庁(USAID)の元職員らがマスク氏を提訴するなど米国内で猛反発が起きているが、マスク氏は意に介さない様子で政権を支える閣僚にまで噛みついた。