激安自販機を展開する大阪地卵。ディスカウントスーパー・オーケーなどのビジネスモデルを参考にしたという
「なんとか商売になっている(苦笑)」
この価格設定で利益は出るのだろうか。
「自販機専門でやっているところは、粗利50%とかで設定している。我々は卸業者として粗利8%で商売をやってきたので、場所代や人件費を考慮してそれより粗利が少しでも多いならいいという考えでやっています。もちろん儲けは多いほうがいいのですが、旧型の商品のスポット品もあってなんとか商売になっているという水準です(苦笑)」(釜坂社長)
なかには10円という価格設定の商品もあることについては、「仕入れと販売のバランスで賞味期限がより切迫した商品が残りそうな場合、売れ残るよりいいという考えで赤字で放出しています」と釜坂社長は説明した。
釜坂社長によれば、この10円商売の原点は意外なところにあるという。
「東京で『10円饅頭』が売られているのを見て、大阪・道頓堀で同じように10円の饅頭を販売したところ、もの凄く売れた。家賃が高くて商売としてはうまくいかなかったが、10円はインパクトがあるというのがその時にわかりました。そこで自販機でも在庫処分として赤字覚悟の10円で売っていたら、やはり話題になったわけです」
他の自販機で賞味期限などが迫っていないものでも粗利を下げて100円で売るところが出てきたというが、やはり50円や70円の設定は大阪地卵のように切迫商品を扱わないとできないという。同社の自販機で値段表示の横に「本日の一押し」「なくなる前に買っといてや」といったコメントが添えられていることについてはこう説明する。
「やはり何か書いていないとおかしい。(ディスカウントスーパーの)オーケーさんが『オネストカード』として正直な商品情報を貼り出しているのを見て、商売はこうあるべきだと感じ、自販機でやり出した。最近は商品が目まぐるしく変わるので貼り紙が追いつかないのが状況ですが(苦笑)。他の自販機と差をつけるために踏ん張っていきます」(釜坂社長)
物価高のなかで実現する安さには理由があり、それを正直に伝えることで消費者も受け入れる、という流れが生まれているようだ。