森永卓郎さん(左)の長男・康平氏が父から学んだ教えとは(右=時事通信フォト)
本誌・週刊ポストでたびたび資産防衛術について指南した経済アナリストの“モリタクさん”こと森永卓郎さん(享年67)。今年1月に亡くなる直前まで、来る株価大暴落による「令和恐慌」に警鐘を鳴らし続けてきた。まさに今、トランプショックで株価が乱高下するなか、モリタクさんの遺した教えをどう活かしていくべきか。薫陶を受けた長男・森永康平氏(40)に聞いた。
「円だけでは危ない」
モリタクさんは昨年始まった新NISA(少額投資非課税制度)をきっかけとした投資ブームに対し、「今後、バブルが弾けて日経平均株価は3000円程度まで暴落する」と警告してきた。そんなモリタクさんの長男が経済アナリスト・森永康平氏だ。
証券会社、運用会社でアナリストとして株式市場や経済のリサーチ業務に携わった後、アジア各国で新規事業を立ち上げ、現在は金融教育ベンチャー「マネネ」CEO(最高経営責任者)を務める。格闘技経験があることから「闘う経済アナリスト」の異名を取るように。「父は師であり、反面教師でもあった」と振り返る康平氏は、モリタクさんの死についてこう語る。
「忙しすぎて、正直悲しむ暇もない状態です。ですが周囲の方々からお声がけいただいて、改めて父が遺したものの大きさに気づかされました。たとえば『来た仕事はなるべく受けて、受けた以上は締め切りを守る』『偉そうに接しない』といった仕事との向き合い方や人との接し方は見習うところが多いです」(以下、「」内の発言は康平氏)
モリタクさんはお金にとらわれて生きることに警鐘を鳴らし、特にやってはいけないこととして「投資」を挙げてきた。しかし、息子の康平氏は投資に対して異なる考え方を持つ。
「私は大学生の頃に投資を始めましたが、父は『投資するな』というスタンスで参考にならず、正直学んだことはない(笑)。ただ、父は『日経平均3000円』とか『消費税15%に増税』などと“令和恐慌”のリスクを声高に叫んでいましたが、実際に米国発のトランプショックや各地の紛争で日本経済がリスクに晒されているのはたしかです。
素人にそうした世界経済の展望を読み解くのは無理がある。そうしたなか円だけで資産を持ち、物価高に対して何もしないのはむしろ危ない。それゆえ、私は将来に向けてコツコツ資産を分散し、なるべく増やせるよう投資をしたほうがいい、という考えなのです」
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※週刊ポスト2025年3月28日・4月4日号