「無理のない投資」をするうえで初心者に推奨するのが「投資信託」だ。
「幅広い商品に分散投資できる投信は、ひとつ買えばいろいろなものを食べられる『幕の内弁当』のようなもの。それを少額で積み立てつつ、運用益が非課税となる仕組みが新NISA(少額投資非課税制度)ですから、使わない手はない」
投信を選ぶポイントは大きく2つ。まず「手数料が低い」こと、そして投信の規模を示す「純資産総額が大きい」ことだ。
「保有している時にかかる信託報酬が低ければ、それだけ受け取る運用益が減らないで済む。純資産総額が小さいと将来的にファンドが運用をやめてしまうリスクがあるので、規模が大きな商品を選ぶほうが安心です。また、世界経済が不安定ななか資産が日本円だけでは危険なので、海外の債券などにも投資できるとバランスがいいでしょう」
具体的には、人気を集める“オルカン”こと「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」や、米国の有力500社で構成される「S&P500」に連動する投信でいいという。
重要なのは「投資したことを忘れるくらいの距離感」だと康平氏は説く。
「始めたばかりの人は下落局面になると不安で売ろうとしてしまう。長期で積み立てて資産形成しようとしているのに、それでは元も子もない。10年くらいのスパンで考え、毎月気にならない程度の額を積み立てる。それこそ投資しているのを忘れるくらいでいいんです。
私が勧めているのは、自ら“取引できなくする”こと。証券口座のアカウントを見られなくするためにパスワードを家族などに変更してもらうのです。スマホのアプリは毎日チェックしてしまう人が多いので、アプリをアンインストール(削除)するのも手です。簡単に見られないようにしておけば、一時的な相場の値動きに振り回されなくて済むでしょう」
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※週刊ポスト2025年3月28日・4月4日号