収入面で魅力を欠くという問題
出世も狭き門となる。3月の春場所の番付に載った力士の数は588人。このうち関取は70人(幕内42人、十両28人)だけだ。相撲の世界で一人前といわれる関取は8.4人に1人しかいない。この春場所で新十両に昇進した3人の平均年齢は22.3歳で、初土俵からの所要は平均3.3年となった。その間、共同生活をしながら付け人をやっていくわけだ。
ただ、角界へ入門する若者が減る理由は、付け人制度や共同生活などの昔からの慣習だけではないだろう。収入面で他のスポーツに比べて魅力を欠くという現実もある。前出・相撲ジャーナリストが言う。
「関取と呼ばれる十両になって、初めて一人前とみなされて給料が支給される。幕下以下の力士は『力士養成員』という扱いで、本場所(年6回)ごとに協会から手当が支給されるが、幕下で16.5万円、序ノ口は7.7万円しかない。衣食住が部屋で保障されているとはいえ、弟子として親方の家(相撲部屋)に住み込み、雑用に使役されながら技術を習得していくという徒弟制度です。幕下以下には30歳前後の力士も少なくないが、支給される金はまさにスズメの涙でしょう」
関取以上に支払われる給料も魅力があるとは言えなそうだ。「2場所連続優勝」や「3場所通算33勝以上」といった高い目安をクリアして昇進した横綱や大関であっても、それに見合う収入を得られていないという指摘もある。