派手色の髪はお金をかけないと美髪が保てないケースが多く、メンテナンスが大変だという(写真:イメージマート)
透明感カラーから「地毛」に変える人も
別の美容サロンに勤務する男性・Bさん(20代・スタイリスト)によると、「ダークトーンの髪色のオーダーにも変化が出てきている」という。
「2020年代になって根強い人気があるのは、暗くても重たく見えない、いわゆる“透明感カラー”です。乃木坂46さんのような清楚系で暗めの髪色も、実はブリーチをしたうえでダークトーンを重ねていることが多いですね。そうすると、光が当たると透けて見えて、頭が重たく見えない、透け感があるアイドル風の髪色になるんです。
こうしたカラーは、1回ブリーチをする必要があるので、やはりメンテナンスにはお金も手間もかかります。最近増えているのは、『ブリーチはやりたくないけど、透明感がある暗めカラーにしたいです』というオーダーです。日本人の髪質に合った色を選び、ワンカラーでも重たく見えないように工夫しています」(同前)
しかし、ブリーチを希望しない女性が増えるのは、スタイリストにとって喜ばしいことばかりではない。Bさんが続ける。
「カラーが売りのサロンや担当者の場合、ブリーチをしない施術は、お客様の単価が下がります。逆に言えば、全頭ブリーチだけでなく、ハイライト、バレイヤージュ、裾カラー、インナーカラーなど、ブリーチ剤を用いるスタイルの場合は単価が上がります。ワンカラーのオーダーが増えているだけでなく、最近は美髪意識も高まっているため“地毛に戻す”というお客様も多いですね。
とくに、白髪で悩まされていない若い世代は、『地毛ならカット代だけで済む』という理由から地毛に戻すケースが増えている印象です。僕のお客様は『毎月のカラーをやめて推し活にお金を使う』『その分でコスメを買う』と話していました。個人的な話で恐縮ですが、僕の収入は固定給と歩合制がセットなので、単価が下がると正直、痛手です。派手髪ブームの方が、スタイリストは儲かります。まぁ、お客様の満足が第一なので、大きな声では言えませんが(笑)」(同前)
毎年移り変わるファッショントレンド。ヘアカラーの流行も、生活者のお財布事情に左右されるところが少なからずあるのかもしれない。