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ビジネス
ネスレ元社長が語る「フジテレビ問題と日本企業」

【ネスレ日本元社長・高岡浩三氏が提言】日本の武器である「世界一の労働力」をどう活かすか? 「高利益率・高賃金」を両立させる「日本的経営再建」への道

AIによる「第四次産業革命」が日本最後のチャンス

 バブル崩壊時、日本の経営者がデジタル革命に乗り遅れたことも日本経済が停滞した原因である。高岡氏は、「僕の定義では、イノベーションは産業革命と一緒に起こるんです」と指摘する。

「それまで解決できなかった問題を解決するのがイノベーションです。第一次産業革命では石炭と蒸気が出てきて、イノベーションとして蒸気機関車が登場した。第二次産業革命では電気と石油の発明によって爆発的なイノベーションが起こりました。おかげで自動車や飛行機、ありとあらゆる家電製品が可能になって近代国家が成長するのに大きな役割を果たしました。

 さらにバブル崩壊時に第三次産業革命のデジタル社会が到来した。このデジタル革命に乗り遅れたから、30年間で日本はこんなに貧乏な国になってしまいました」

 そして第四次産業革命として登場したのがAI(人工知能)だ。この第四次産業革命は日本にとって最後のチャンスであると高岡氏は強調する。

「これまでAIはアメリカに大きく後れを取っていましたが、中国のDeepSeek(ディープシーク)がAIモデルをオープンソース化したことで、日本も新しいスタートラインに立つことができます。これからはこのAIを使って新しいイノベーションを作る時代で、この機を逃したらもう永久にチャンスはないと思っています。AIを不要とする産業は一つもありません。AIを用いて、それまで諦めていた問題を解決するイノベーションをどう起こしていくのか、これからの経営者の腕の見せ所でしょう」

「次なる日本的経営」の創出で日本再浮上を

 日本経済は失われた30年を過ごし、一生懸命に働いても労働者の給料はなかなか上がらない。それは、経営者の責任が極めて大きいと自省を込めて高岡氏が語る。

「日本の経営者はみんな謙虚に反省しないといけません。僕自身、自分が実践してきたこととは別に60代の元経営者として、世代として反省しなきゃいけない。40年間外資系に身を置いて孫も生まれましたが、今のままではその子たちの未来は非常に暗いです。

 そんな危機感があり、今は自分の会社を作って、イノベーション道場やイノベーションサロンを通じて、比較的若く、これから経営者になる人をサポートしています」

次のページ:「外資のやり方も柔軟に取り入れて次なる日本的経営を」

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