埼玉県でスクラップ業を営む磯貝清明氏(39)は、かつてFX(外国為替証拠金取引)の有名個人トレーダーとして大きな利益を出し続け、六本木ヒルズレジデンスに居を構えるなど、我が世の春を謳歌していた。そこから一転、2009年にはFXで得た4億5000万円の所得を隠し1億6000万円を脱税した罪で告発され、重加算税など3億3000万円もの負債を背負うことになった。
あれから8年。磯貝氏は本業のスクラップ業に注力しながら返済を続け、残る負債は4700万円まで減っているという。しかし、ここまでの道のりは、決して平坦なものではなかった。磯貝氏が振り返る。
「脱税の件は、義務である申告を怠っていた自分が悪い。何年かかっても必ず完済すると覚悟を決めました。ただ、そこに至るまでには迷いや甘えがありました」(磯貝氏。以下「」内同)
一時はFXで10億もの資産を築いた磯貝氏だったが、リーマン・ショックでの大暴落に巻き込まれ、告発された頃には資産はすでに数千万円に激減していた。そこで巨額すぎる税額を、なんとか「まけて」もらえないかと考えたのだという。
「詳しい素性は明かせませんが、政治家とのパイプを持つ知人が『3000万円払えば、国税庁に影響力を持つ政治家に頼んでチャラにしてあげますよ』と囁いてきたんです」