藁にもすがる思いで、磯貝氏は言われるままに差し押さえられる寸前の資産を支払ってしまった。当たり前の話だが、税額はビタ1円もチャラになることはなかった。磯貝氏は騙されたのだ。
領収書はもらっていたので、訴訟を起こして徹底的に戦うことも考えた。しかし最終的にはあきらめて、知人を許すことにしたという。
「そもそも、とっくの昔に払っていなければならない税金をチャラにしてもらおうなんて考えた僕が悪い。バチがあたったんですよ。もうズルいことを考えるのはやめようと誓いました」
そこに追い打ちをかけるように、また不幸な出来事が磯貝氏を襲った。磯貝氏にはFXで勝ちまくってウハウハだった時代に、慕っていた兄貴分のような人物がいたのだが、その男性に超高級車であるランボルギーニを持ち逃げされたのだ。しかも2台も。
いずれもランボルギーニの中でも特に高価なモデルで、1台4500万円もしたという。磯貝氏はこれを返してもらって納税にあてようと考えたその矢先に、男性が2台のランボルギーニと一緒に行方知れずになってしまった。信頼していた人物に裏切られた磯貝氏は、しばらく立ち直ることができなかったという。
「まさかそんなことをする人だとは思いもしなかったのでショックでした。なんとか探し出して……とも思いましたが、やっぱりバチが当たったんだな、と。探す時間があったら本業で働いて稼ごうと、諦めることにしました」