インターネットの広告費の伸びが止まらない。電通の調べによると、2016年は新聞が5431億円で雑誌が2223億円、ラジオが1285億円、テレビが1兆9657億円で、ネットは1兆3100億円。新聞・雑誌の紙メディアは前年割れでラジオ・テレビは微減。ネットは前年比113%と好調だ。広告費が伸びると、そのメディアに寄稿した場合のギャラも高くなると語るのは、ネットニュース編集者の中川淳一郎氏だ。今、紙メディアとネットメディアのギャラはどのようになっているのか。両メディアで多数の原稿を執筆中の同氏が解説する。
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「ネットだから安くてごめんなさいねぇ~」――これは2013年ぐらいまでよく言われていたことだ。これを書き手の側も受け入れることが多かった。だがこの言葉が最近はあまり説得力を持たないというか、それをライターに言うと「いや、それ、理由にならないんですけど」といった戸惑いの表情をされることが増えた。
昨今の「キュレーションメディア騒動」で、ネットメディアのギャラの安さがクローズアップされた。1記事200円だったり2000円で質の低い記事を大量生産し、広告費を稼ぐモデルである。バイト感覚でのこうした“激安ライティング業務”が存在するのはそれは仕方ない。この件が明るみに出た時、紙メディア出身のライターは色めきたった。「そんな金額でやるヤツがいると、オレらのギャラも下がるじゃねぇか」と。
だったら自分なりの価値を示し、ギャラ向上に努めろよ、と思うのだが、一方で自分なりの価値を示すことができれば、ネットメディアのギャラが上がってきているのも厳然たる事実である。