人が居住している土地・建物や、空き家を更地にして保有した場合、固定資産税(1.4%)と都市計画税(0.3%)が毎年かかる。しかし、建物が建っている空き家にのみ、「住宅用地の課税標準の特例」が適用され、税が優遇される。ただし、特定空き家に認定されると、優遇されなくなる。
しかし、売るか貸すかすればいいとわかっていても、「思い出の実家は残しておきたい」といった心情面での問題や「きょうだいに反対された」などの相続人同士のトラブルなどで処分できないのが実情だ。しかも、建物が建っている空き家は税金が優遇されるため、「ボロ家だろうと、建っていた方がいい」と、むしろ空き家を放っておく人が多かったのだ。
法律の改正で取り締まりが強化
しかし、これからはそれでは済まされないと、税理士の坂部達夫さんは言う。
「空き家が増えたことで、近隣住人からの、ごみの不法投棄などに関するクレームが増え、2015年に『空家等対策の推進に関する特別措置法』が成立。この法律では、危険で不衛生な空き家を、各市区町村が『特定空き家』と認定すると、所有者に対して、撤去や修繕の命令が出せます。これに従わなければ、市区町村が強制的に空き家を撤去し、その費用が請求されます」
しかも、特定空き家は税制優遇が受けられなくなるので、固定資産税で最大6倍、都市計画税で最大3倍が課せられることになる。