しかしながら、学生のときに安定と給与を求め、長く働きたいと望んで選んだ会社に、入社後すぐに退職してしまう人がいるのも事実。昨年、新卒入社後、半年で辞めた男性・Aさんもその一人だ。Aさんが、退職理由をこう振り返る。
「正直、入社後1週間くらいで会社にいるのが辛くなって、辞めたいなー、って思い始めました。でも、安定した会社を望んだわけだし、人生終わりたくないし……と我慢して。そうしていると辞めたい波がすーっと引いて、まぁいいかなぁ、と思うときもあったのですが、先輩や上司を未来の自分に重ねてしまったとき、どうしようもない気持ちになり、退職を決意しました。
今思えば、かなり忙しいけど、給与はまあまあ高い会社だったと思います。でも、残業が多くなり始めたのと、プライベートなことに首を突っ込んでくる上司に先輩……思っていたのと違う、という気持ちが強くなりました。ここでイヤイヤ無駄な時間を過ごすなら、スパッと辞めて、お金はほどほどで好きなことをしていたいなって。今は学生時代の先輩がつくった会社で、業務委託とアルバイトをしています」
Aさんだけでなく、その周囲にも、退社を検討、もしくは退社したという人は少なくないという。Aさんが続ける。
「僕の周りにも『朝起きられないし、満員電車が嫌』『帰りづらい雰囲気が嫌』『土日は出勤がないと聞いていたのに、実際あるとか最悪』みたいな、辞めたい意思をほのめかす人がいました。実際に退職した人もいます」
昨今、“ブラック企業”という言葉が急速に浸透したことも、新社会人が退職を決意する背景のひとつとなっている、という指摘もある。