リタイア後のメインバンク選びを考えるうえで大切なことは何か。サラリーマンが退職して会社通いから解放されると日常生活の活動エリアも大きく変わる。通勤で利用していた駅に足を運ばなくなり、逆に自宅に近い商店や病院、公共施設などを利用する機会が増え、預金の引き出しをするにも家の近所で少額を下ろすケースが多くなりそうだ。ファイナンシャルリサーチ代表の深野康彦氏はこう語る。
「生活範囲内に支店やATMが充実しているかがポイントです。たとえばメインバンクの支店が現役時の生活圏にしかなければ、退職金や年金の受け取りを機に、自分のライフスタイルに適した地域密着型の金融機関にシフトするのも一考です」
その場合、住宅街よりも駅やオフィス街に多い大手行は敬遠されそうな印象があるが、ここでも多角的な検討が必要だ。
「日本は今、オーバーバンキング状態。すでに3行に集約されたメガバンクはともかく、地銀や信金・信組などは将来的な合併によって自宅付近の支店やATMコーナーがなくなってしまう可能性もある。考えればキリはありませんが、そうしたリスクを考えれば、近くにメガバンクの支店があれば安心かもしれません」(同前)
また、金融機関の支店であれば営業時間内は手数料がかかることはないが、支店が近くになかったり、営業時間外だったりすれば、自宅近くのATM、特に24時間稼働しているコンビニのATMを利用することになる。