街を行く人に尋ねてみれば、きっと誰しも住んでみたい街があるはず。けれども理想と現実には、得てして大きな差があるものだ。憧れのあの街は、果たして本当に素敵な街なのか? まったくノーマークだけど、実は住みやすい街は? 今回は、「住みたい街ランキング」で常に上位にランクインする「恵比寿」(東京・渋谷区)について、ライターの金子則男氏が解説する。
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不動産情報サイト「SUUMO」が毎年発表している「関東 住みたい街ランキング」に異変が起こったのは2016年のこと。調査開始以来トップを守り続けていた吉祥寺(東京・武蔵野市)を抜き、1位に輝いたのが恵比寿でした。2017年には再び吉祥寺に抜き返されたものの、しっかりと2位につけています。
もともとは駅前にエビス (サッポロビール)の工場があったことを知るのは、若くとも40代以上の方でしょう。その跡地にできたのが、1994年にオープンした恵比寿ガーデンプレイスです。これにと伴い、JR恵比寿駅の1日平均乗車人数は5年間で4割も増加(1993年と1998年を比較したもの )。恵比寿は「わざわざ訪れる街」になりました。
交通の便に関しては、文句のつけようがありません。JRでは山手線に加えて湘南新宿ラインもとまるため、渋谷、新宿、池袋、お台場方面、横浜など、すべて乗り換え不要。東京メトロ・日比谷線に乗れば、六本木、銀座へも1本です。駅周辺には山手通り、駒沢通りといった幹線道路が通っており、道路事情も良好。渋谷や表参道は徒歩圏内です。