長らく停滞してきた株価が動き出した。一方で、金融庁史上最強の長官との呼び声高い森信親氏は、来年1月からスタートするつみたてNISA(少額投資非課税制度)の対象として残った投信は全体の1%弱の50本以下だと異例の言明をした。同氏は手数料の高さ、透明性などから日本で売られている投資信託の問題点を浮き彫りにしたのだ。
金融業界は今後、森氏の意向を受け、顧客本位でない「手数料ビジネス」で回してきた体制の見直しを迫られることになる。ケイアセット代表・平野憲一氏がいう。
「金融庁の指摘に加え、投資家もわかってきているので、もう投資信託で暴利をむさぼることはできません。ネット証券はすでにノーロード(販売手数料無料)投信なども出していますが、金融各社は厳しいでしょうが手数料を下げ、より多くの投資を呼び込めるようにやっていくしかないでしょう」
そうしたなかで、個人投資家も「金融機関まかせ」で投資先を選ばない“目利き”が必要不可欠になってくる。
「どれだけリスクをとるかも含めて、投資家個人が自分で考えながら判断し、金融商品を選んでいかなければならなくなる。複雑なものでは、あっという間に2~3割の損失が出るような投信もあります。