《景気後退確率 1.4%》
5月12日、日本経済研究センターが初めて公表したのは、景気の後退リスクをゼロから100%までの間の確率で表わす指標だ。
そのベースとなるのは、内閣府が毎月、景気の先折れのリスクを示すために公表している、「生産」や「雇用」などについての11の先行指標だ。もともとあるそれらの指標自体、景気の先行きを展望するためのものだが、複数あるとどれを見ればいいのかわかりにくく、数値も「%表示」ではないので直観的に現状が掴みづらいという難点があった。
日本経済研究センターでは、それら先行指標の過去のデータから独自の計算式を導き出し、政府の景気判断よりも先にその変動の兆しを「確率」で示す方法を開発したのだ。同センターによれば、最新となる今年3月の「景気後退確率」が、わずか1.4%だった。
確率と呼ぶ以上、裏を返せば「景気上昇確率98.6%」とも読める――開発にあたった宮崎孝史・副主任研究員に尋ねると、「確かに、1.4%という低い確率からは足元の景気の底堅さが裏付けられたと解釈できます」と答えた上で、「低確率」に寄与した先行指標を挙げた。
有効求人倍率はバブル期以来の高まり
まず、〈暮らし向き〉や〈耐久消費財の買い時判断〉など一般世帯向けのアンケートから算出する「消費者態度指数」は、昨年11月以降概ね上昇を続け、3月は43.9(前月比0.7ポイント改善)と3年6か月ぶりの高水準を示している。
また、商品の企業間取引価格をもとにした「日経商品指数」(1970年=100とする)は173.696と7か月連続上昇した。さらには「新設住宅着工床面積」は今年1月に680万平方メートルと、前月比8%も増加し、その後も3月まで大きく下落していない。