つまり、様々なかたちで「需要」が増えているということだ。モノやサービスを欲する個人や企業がいて初めて景気は上向く。半年ほど前から日本の景気にはポジティブな変化が起きているのだ。これらの先行指標を公表した内閣府経済社会総合研究所によると「最終需要財の在庫率指数も昨年秋ごろから改善していて、先行指標全体を押し上げている」という。
昨年秋といえば、11月に米国で積極的な財政出動を唱えるトランプ大統領が誕生した時期だ。
「トランプ経済への期待が先進国経済全体に波及して、原油をはじめとした資源価格も戻ってきています。2008年のリーマンショックの震源地となった米国でさらなる利上げが現実味を帯びるほど景気は好転している。米国への期待感を背景に、日本を含めた世界経済に好循環の道筋が意識されていると思います」(カブ知恵の藤井英敏・代表)
日本における具体的な経済指標も、空前の回復を裏付けている。有効求人倍率(3月)は1.45倍と26年4か月ぶりというバブル期以来の高まりを見せ、輸出額(3月)も7兆2291億円と2008年9月のリーマンショック以来8年半ぶりの高い数字を記録した。こうした状況を反映して、18日に公表されたGDP速報値(1~3月)は年率換算で2.2%増となったのだ。
そうしたデータを改めて見ると「景気上昇確率98.6%」という“超楽観的”な数字も信憑性を帯びてくる。前出・宮崎氏は、こうも述べた。
「上昇確率とまでいうと語弊があるかもしれませんが、景気拡張局面にある確率がきわめて高いということはいえると思います」
※週刊ポスト2017年6月2日号