そのように、最高益を出した企業が賃上げに踏み切り、サラリーマンの所得が増えれば消費の回復は本格化するはずだ。株式評論家の植木靖男氏は、今後の日本経済の行方をこう分析する。
「確かに米国の株式市場は、コミー前連邦捜査局(FBI)長官の解任騒動で荒れていますし、ロシアゲート問題もすぐには落ち着きそうにない。6月にはFRBの利上げ観測もあり、日本の株式相場も一本調子で上がっていくとは考えにくい現状はある。
とはいえ日本経済のファンダメンタルズは好調です。こうしてみると、年末にかけての日経平均の見通しは“谷越えショット”でしょう。つまり、一旦は落ち込む要素はあるものの、米国の財政出動をエンジンに世界経済が好循環を維持・拡大していけば、年末から年明けにかけては回復軌道を描くはずです。そのときには日経平均は2万5000円、さらには3万円への気流に乗り出すことも期待できる」
いよいよ日本経済は、本格的な景気拡大局面を迎えるとみられているわけだ。ただし、幅広い業種の企業における業績拡大があったとしても、何もしない個人がすぐに恩恵を受けられるものでもない。多くの人が、そのことを体験的に分かっているはずだ。史上最高益が連発される状況だからこそ、個人として資産をどう増やせるのかを考え、その果実を積極的に取りに行くべき局面に入ったのである。
※週刊ポスト2017年6月2日号