今年3月に旅行業者「てるみくらぶ」が151億円の負債を抱えて倒産したが、事前にその“兆候”をキャッチしていたのが、企業を調査する「帝国データバンク(以下、TDB)」だ。同社情報部は、企業が倒産した際の負債状況などを記載したレポート『倒産速報』を発表しており、てるみくらぶが自己破産申請を東京地裁に提出した日の速報には、TDBが掴んでいた兆候がしっかり記されていた。
同社情報部は、実際に倒産した企業、経営再建に追い込まれた企業を分析し、今後倒産しそうな企業を見分けるために“活用”しているという。倒産する企業には、具体的に、どんな事例と共通点があるのか。
不正に大甘対応
長野県諏訪市の老舗紙問屋、加賀屋は不正に手を染めた幹部への甘い処分で信用を失い、100年を超える歴史に幕を下ろした。
地元の有力企業だった加賀屋は、2009年ごろに多角化の一環でテナントビルへの投資を始めてから雲行きが怪しくなった。借入金の増加で資金繰りが悪化するなかで、総務経理部長が数千万円にのぼる売上金を着服していたことが発覚。2000万円を弁済させたが、それでは足りず1400万円を貸付金として計上した。TDB東京支社情報部情報取材編集課副課長の内藤修氏が語る。