かなりヤバいなら、金融機関として警察に被害を訴えればいい。筆者がそう言うと、担当者は苦虫を噛み潰したような表情になった。
「銀行としては出来ないから頼んでいるんです。銀行が被害を訴えちゃうと、最終的に、カードローンに規制がかかることになる。いまテレビで流れるCMはカードローンばかりでしょ?
稼ぎ頭なんですよ。だから、“上”はカードローン規制だけは避けたい。だけど、こいつらを放置しておくと大変なことになる」
受け取った資料をもとに取材を進めると、次々に「被害者」が現れた。
フリーターが一番いい
貸した金が返ってこないという点で、第一の被害者は銀行だ。しかし、劇場型「カードローン詐欺」はもうすこし手が込んでいる。取材を始めて約半年後、銀行から「偽造書類で金を借りた者」(カードローン申込者)から「金を吸い上げていた犯罪グループ」が仲間割れを起こし、その混乱に乗じて離反者を取材することができた。
彼らは「かつて闇金をシノギにしていた暴力団」をケツ持ちにした「オレオレ詐欺+マルチ商法」を行っていた30代を中心としたグループである。
彼らは暇な若者(フリーターが中心)を集めるセミナーを開催。「投資コンサルタント」が登場し、海外事業への投資が大きなリターンを生むと勧誘する。しかし、暇な若者たちには「投資する元手」がない。グループに在籍していた一人は、これが狙い目だと言う。