日本の家計に異変が起こっている。税金・社会保障費の負担が増える一方で所得は伸びず、必要最低限の生活費を払ってしまえば、ほとんど手元に残らない。
今、日本ではどんなことが起こっているのか? 家計の見直し相談センター・藤川太氏が「貧困化ニッポン」の現状を解説する。
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2012年末に第2次安倍政権が誕生して以降、アベノミクスによる景気拡大局面が続き、その期間は1980年代後半の「バブル景気」を超えて戦後3番目の長さといわれています。
しかし、それを実感している方がどれほどいるのでしょうか。
総務省統計局がまとめている家計査をみると、厳しい家計の実態が浮かび上がってきます。家計の長期的な流れをとらえるために、20年前の1997年と現在とで比較してみると、それは如実となります(いずれも2人以上の勤労者世帯のケース)。
まず税金や社会保険料といった「非消費支出」は1997年が9万8179円、2016年が9万8586円と一見、金額はさほど変わりないように思えますが、実収入(額面)に占める負担率は一貫して増加しています。
かつて高度成長期に約8%だった負担率は1970年代後半に10%を超え、1997年は16.49%、2016年には18.67%にも上っています。収入の2割近くが税金や社会保険料として差し引かれ、手取りは収入の約81%まで減っていることになるのです。