「ファンドが動いた」
投資のプロはこの“怪現象”をどう見るか。株式評論家・植木靖男氏に聞いた。
「各証券会社は月末に翌月の営業目標を立てるので、月初は支店長が現場にハッパをかけ、営業マンが特に気合を入れて注文を取ろうとする。昔から“毎月第1営業日は上がりやすい”といわれてきました。ただ、それだけで12か月連続で上がるかな……」
そう首を傾げる。月末、月初は景気関連の指標、統計が発表されるタイミングであり、それとの関連を指摘する声もある。たとえば、6月1日は財務省の法人企業統計が発表され、「設備投資の伸びが確認されて“買い”の材料となった」(前出の証券会社関係者)とみられている。
昨年12月1日は、前日に米国で発表された各種経済指標が軒並み市場予想を上回り、日経平均も204円高となった。ただ、法人企業統計の発表は3か月に1度。「12か月連続」の説明はつかない。そうしたなかで、「機関投資家の動き」に着目するのはマーケットバンク代表の岡山憲史氏だ。
「ファンドをはじめとする機関投資家は、毎月末に債券と株式の資産組み入れ比率などを見直し、月初にそれを実行するケースが多いとされる。日銀の国債大量購入による金利低下が続くなかで、機関投資家は債券より日本株の方が運用成績を上げられると判断し、株式に資産を移している。それが、日経平均の『月初高』の理由の一つではないか」