別表では、40歳の夫婦(夫は会社員、妻は専業主婦)で子ども2人(10歳、8歳)の4人家族をモデルケースとして、消費税率が現行の8%から10%に引き上げられた場合、年収別にどれだけ負担が増えるかを試算。さらに、家計調査などをもとに、消費税の再引き上げとほぼ同時期に物価が政府・日銀の目標通りに2%上昇した場合(家計への影響が安定する18年まで)の年間負担額を算出しました。
まず消費増税の影響は、年収300万円世帯なら約3万円、年収1500万円世帯なら17万円近く負担が増える計算となります。
それよりも問題はインフレの影響でしょう。年収300万円世帯なら11万円余り、1500万円世帯なら約45万円などと、いずれも消費増税による影響よりも3倍近く負担が膨らむのです。
しかも、その負担率は低所得者ほど高くなり、年収1500万円世帯では約3%であるのに対し、年収300万円世帯では4%近くに上ります。わずかの差のように思えるかもしれませんが、低所得者にとっては重い負担であることは想像に難くありません。
自分が海外で働けないならお金に〝出稼ぎ〟してもらう
私たちの家計を苦しめる「インフレ社会」がひたひたと迫ろうとするなか、いったいどうしたらいいのでしょうか。
フランスの経済学者、トマ・ピケティ氏が著書『21世紀の資本』で示したように、労働所得の上昇率が資産の生み出す利益率を下回る以上、格差はどんどん広がります。それどころか、経済成長もないままにインフレを迎えてしまえばスタグフレーション(不況下のインフレ)に陥ってしまい、ただマジメに働いているだけでは資産が目減りし、生活が苦しくなる一方です。いくら節約に励んでも追いつきません。
そうなると、少しでも生活を守ろうと考えるならば、経済が好調な他の国で仕事をするという選択肢も考えられるでしょう。しかし、それはあくまで理想であって、多くの人の場合、海外で働くというのは現実的ではありません。
そうであるならば、せめて自らの資産だけでも海外に移し、お金に〝出稼ぎ〟してもらうようにする必要があります。