長時間残業をしていた電通社員が自殺した件が労災認定を受けるなどの影響などもあり、残業抑制に取り組む企業が増えている。政府が推し進める「働き方改革」の潮流もあいまって、在社を禁止してみたり、早く帰る人を褒めるなど、様々な方法で労働時間の短縮と業務の効率化を取り組む動きが生まれている。
三井住友海上火災保険では、社員全員が自分で決めた終業目標時刻を「宣言」する取り組みを4月から始めた。宣言をすることで自ずとその時刻を守ろうという意識が働き、上司も終業間際に仕事を頼みづらくなるため、全社で仕事の効率化を考えるようになるという狙いだ。
また、「紳士服のはるやま」を展開するはるやまホールディングスは、月間の残業時間がゼロだった社員に対して1万5000円を支給する「No残業手当」制度を2017年4月から導入している。残業した場合でも、残業代が1万5000円未満の社員には、差額を上乗せして1万5000円を支給する。自発的に残業をなくすようにするにはどうしたらいいかと考え、残業をしない社員が得をするような制度を発案するに至ったという。
ただ、こうした企業努力によって“表面上”の残業が減っても、心配されるのが、仕事の持ち帰りと企業が把握していない「隠れ残業」の存在だ。IT企業のアイキューブドシステムズが、一都三県のオフィスワーカーを対象とした調査によると、仕事を家などに持ち帰っている人は全体の44.8%で、そのうちの83.4%は、会社に申告していない「隠れ残業」があるという。
同社は、モバイルデバイス管理のためのアプリケーション「CLOMO MDM」の新機能として、業務時間外になると、電話以外の機能が画面から消え去り、使えなくなるという「ワーク・スマート」機能をリリースした。