【書評】『入社1年目から差がついていた! お金が貯まる人は何が違うのか?』/工藤将太郎・著/すばる舎リンケージ/1400円+税
【評者】森永卓郎(経済アナリスト)
とても良心的な本だと思う。どうやったらお金が貯まるのかについて、誰でもできる生活習慣を、ていねいに解説しているからだ。
ある程度のお金を持つことは、とても重要だ。貯蓄がないと、いつも資金繰りに悩まされるし、ローンやリボルビング払いの利用で、金利の支払いに追われることにもなる。著者は、お金を貯める手段として、給与から天引きでお金を貯める「自動貯蓄」を推奨している。
この指摘は重要だ。ケインズ経済学の根幹は、消費関数の安定性だと言われている。つまり、人間と言うのは手元にお金があると使ってしまう生き物なのだ。それは、古今東西変わらない人類の性だ。だから、消費した後にお金を貯めるのでなく、先に貯蓄しなければ、お金は貯まらないのだ。