〈高齢者は自由に金を使えない?〉──こんな見出しの投書が朝日新聞『声』欄(6月25日付)に掲載され、波紋を広げている。75歳女性が預金を下ろしに行ったところ、銀行員に使途を根掘り葉掘り聞かれたうえ、警察官を呼ばれた。そのお金で購入する予定の納骨壇がある寺や、遠方に住む娘に電話をかけて事実関係を確認され、現金を手にするまで1時間半もかかった──という内容だ。
“高齢者迫害”にさえ思える対応はなぜ起きたのか。それは振り込め詐欺が増え続けていることが原因で、全国各地で高齢者を対象に振り込め詐欺防止対策が進められている。
滋賀県内の7つの金融機関では、2015年から70歳以上の高齢者が200万円を超える現金を窓口で引き出す場合、小切手を受け取るよう勧める取り組みを始めた。他の店で小切手のまま使うか、換金する必要があり、手間がかかる。
全国銀行協会広報室は「各金融機関は、警察庁から高額の取引をしている高齢者に対して積極的に声がけするように要請されている。年齢や引出額に全国統一の基準はなく、各都道府県の金融機関が警察と決めている」と説明。