三菱東京UFJ、三井住友、みずほの3メガバンクは、いずれも「年齢などの基準は公表していないが、高額現金の取引については問診させていただく場合がある」と回答した。だが、これらの“高齢者対策”には「どうして自分のお金なのにすぐ引き出せないのか」「私は詐欺に騙されるような人間ではない」などといった反発も上がっている。
「国や銀行が行なっていることは表面的な“おせっかい”でしかない」と話すのは、僧侶で作家の向谷匡史氏だ。
「根掘り葉掘り聞くというのは、『振り込め詐欺対策をちゃんとやっていますよ』という印象付けでしかない。しかも、まとまった現金を下ろすのは経済的に余裕のある人が多い。国や金融機関は、本来お金がなくて苦しんでいる人の世話を焼くべきです」
加えて「詐欺被害を防ぐ」という理屈も金融機関の“建前”である可能性が高い。
「金融機関は詐欺などの事件が起こり、捜査に巻き込まれたくないという意味合いが強いと思います。何も対策を講じてなかったといった社会的責任を問われたくないだけでしょう」(経済評論家・森永卓郎氏)
いかにも「利用者のため」を装っているのが腹立たしい。
※週刊ポスト2017年7月14日号