戦前には7割を占めていたという「お見合い結婚」。少子化問題が深刻化するなか、お見合いを見直す声もあるが、なかには実際にお見合いをして、トンデモ経験をした人も。都内在住の歯科医師(43歳)が、自らのお見合い経験を語る。
イケメン歯科医師のTさんは、都内の超一等地で歯科医院を経営しており、年収は2000万円以上。愛車は外車、住所は渋谷区、兄弟も歯科医だ。車イジリ、写真、スキー、旅行など多趣味なTさんは、いまだ独身生活を謳歌しているが、お見合いをした経験は何度かあるという。Tさんは言う。
「私の家は3代にわたって歯科医院を営んでいて、祖父の代から家族ぐるみのお付き合いをしている患者さんが何組もいます。私が歯科医になり、30代半ばになると、そういった患者さんから『Tさんは結婚しないのかい?』ということをしばしば尋ねられるようになり、どうしてもお見合い話を断ることができなくて、これまで何回かお見合いをしました」
いろいろなしがらみから、やむなくお見合いはしたものの、Tさんは結婚する気ゼロ。そこでTさんは、“角を立てずに断られる”という難しいミッションをこなすべく、ある作戦でお見合いに臨んだという。
「お見合いというと、まずは仲介する人同席のもと、食事……というイメージがありますが、最近ではいきなり2人だけで会うことが多いようです。少なくとも私の場合はそうでした。それで待ち合わせのレストランで相手の方と会うと、挨拶も早々に『私は車が趣味です』と言い、あとは車の話を延々と続けたんです。
私は口が達者な方ではありませんが、自分の好きなことならいくらでも話すことができます。エンジンの話、前輪駆動と後輪駆動の何が違うのか、エアロパーツがどうたらこうたら、『可変バルブが……』『12気筒の……』、そんな話を一方的に続けていれば、たいてい相手は呆れますよね。かくして断られます」(同前)