老後を安心して暮らすために、定年までの蓄えはいくら必要? この永遠の問いには3000万円説、5000万円説、1億円説など諸説ある。とはいえ、たとえば定年後も働くようにすれば老後の収支は改善され、3000万円もなくてもやっていける。定年を機に家計を見直せば、生活費も大きく減らすことができるだろう。
しかし実は、それだけでは解決しない出費がある。それが医療・介護費だ。そもそも、老後の医療・介護の費用は一体いくら必要なのか?
「医療や介護は求める質やサービスで必要な額が違ってきますが、1人約800万円は必要です」と、社会保険労務士の井戸美枝さんは語る。
生命保険文化センターが、介護経験者を対象に2015年に行った調査では、1人当たりの介護費用は約550万円。介護期間の平均が4年11か月で、費用は月額約8万円、リフォームなどの費用が平均80万円でこの額になる。