現実の経済を支えている基盤は、政府や日銀ではなく、市井の人々による日々の営みだ。国民の関心を引く出来事やイベントが、景気や株価に直接、または間接的に少なからぬ影響を与えることは多い。
2017年前半で特に注目を集めたニュースのひとつに、将棋の藤井聡太四段(14)の快進撃がある。2016年末のデビュー以来公式戦無敗を続け、史上最年少で将棋界の最多連勝記録を30年ぶりに塗り替えた。将棋ファンはもちろん、そうでない人も熱い関心を寄せ、将棋ブームも巻き起こっている。
そんな藤井四段が打ち立てた輝かしい記録が、なんと日本の景気までを押し上げる可能性があるという。景気のジンクスに詳しい三井住友アセットマネジメントの宅森昭吉チーフエコノミストは、過去の将棋の連勝記録と景気の相関についてこう解説する。
「1984年の有吉道夫九段による20連勝達成以降、これまで計4回連勝記録が更新されていますが、いずれもその年の年末は景気拡張局面にあたっています」
将棋は愛好家も多く、根強い人気を誇る日本のボードゲームだ。新たなヒーローの誕生は日本中を活気づけ、景気にもプラスの影響を及ぼすと考えられるという。