「大きめの常設劇場であれば、芸歴や人気によって芸人がランク付けされており、それによってネタ1本あたりのギャラが決まります。たとえば、若手であれば1本5000円からスタートし、大御所になれば最高1本5万円くらいになります。1日3ステージある日なら、これだけで日給15万円。一方、若手専用劇場では出演ギャラはその10分の1程度。デビューしたての若手は1本500円のギャラから始まって、最高で5000円くらいまでしか上がりません。毎日出番があればいいですが、週1回くらいの出番しかない若手も多く、経済的に厳しいと思います」
常設の劇場のほかに、「営業」と呼ばれるステージもある。これは、同じ事務所の芸人数組で、地方のショッピングモールや市民会館、さらには会社の忘年会などに呼ばれ、そこでネタを披露するというもの。通常の劇場出番よりはギャラは高い。
「営業ギャラは事務所によっても変わりますし、芸人の格によっても差があります。1回の営業で200万円くらいもらえる芸人もいれば、1回1万円の芸人もいる。『〇〇さんは営業1回50万円』みたいな形で、事務所の方で芸人の営業ギャラを設定しているケースもありますが、若手芸人の場合はクライアントの予算に合わせてギャラが変動することが多いです。ただひとついえるのは、通常の劇場よりも、営業のほうが間違いなくギャラはいいです」(前出関係者)
事務所主催ライブのギャラは0円
常設の劇場を持っていないお笑い事務所は、定期的に事務所主催の若手ライブを開催している。これらの事務所ライブでは、ギャラはほとんど出ないという。現役の芸人はこう話す。
「事務所主催ライブは、ライブハウスや小劇場で定期的に行われていて、出演する芸人のギャラは基本的に0ですね。位置づけ的には、日頃の成果の発表会という感じで、事務所の人間やバラエティー番組の関係者を呼んで、ネタを見てもらうというイメージ。ここでウケれば、テレビ出演のチャンスがつかめるかもしれないということで、芸人たちは出演しています。お客さんを入れたオーディションみたいなものなので、ギャラも出ないということです」
こういった事務所主催のライブには、他事務所の芸人がゲストとして出演することもあるが、そのゲストにもほとんどギャラは出ないという。