ただし、現時点では日本全国の同性カップルが利用できるわけではない。ローンの申請に当たっては、東京都渋谷区が発行する「パートナーシップ証明書」の写しを提出することが条件となる。
渋谷区のパートナーシップ証明書は「戸籍上の性別が同一であり、渋谷区に居住し、かつ、住民登録があること」などが要件となるため、基本的には渋谷区在住の同性カップルしか対象にならないのだ。それゆえ、他行の幹部は冷静な見方を示す。
「時代の流れを汲み取るという姿勢はすごくいいと思いますが、対象者が渋谷区在住者限定となると、どうしてもローカルにならざるを得ない。全国のお客さまに等しくサービスを提供する銀行としてはどうなのかな、というのが率直な気持ちです。他の自治体でもこうした取り組みが広がるかどうかなど、まだ整理すべき論点があり、当面は様子見といったところです」
前出・みずほFG広報室では「他の金融機関などからもお問い合わせをいただいており、金融業界全体でこういった取り組みが増えるきっかけになればよいと思っています。また今後、他の自治体における取り組み状況などを踏まえ、適宜見直しを検討していきたいと思います」というが、渋谷区のような取り組みを行なっている自治体が現状では少なく、他の自治体への広がりなどまだまだ課題は多いようだ。今後に期待というところか。