7月18日、内閣府の有識者会議で「年金を75歳まで繰り下げ受給できるようにすべき」との議論が交わされた。繰り下げ受給とは、年金受給を遅らせて割り増し年金をもらうものだ。この議論について、年金政策に詳しい社会保険労務士の北村庄吾氏は、「いよいよ年金75歳受給開始時代が来ると見るべき」と指摘している。
伏線はあった。今年1月、日本老年学会などが突然、65歳以上を高齢者とする従来の定義には「医学的根拠はない」として今後は「75歳以上」を高齢者と区分することを提言した。本誌・週刊ポストでは「定義見直しで高齢化率を下げ、75歳まで年金保険料を払わせる“国家の謀略”」(今年1月27日号)と報じたが、自民党は学会に合わせて水面下で年金支給開始の引き上げの議論を進めていた。
今年5月には自民党一億総活躍推進本部が年金財政の安定のために現在70歳までの繰り下げ受給の年齢を「71歳以上」に引き延ばせる提言をまとめている。自民党の提言文書の「65歳以上のシニアの働き方・選択の自由度改革に関する提言」の項にはこう書かれている。
〈65歳までは「完全現役」、70歳までは「ほぼ現役」、65歳~74歳までは「シルバー世代」として、本人が希望する限りフルに働ける環境を国・地方・産業界挙げて整備し、「支え手」に回っていただける社会の構築を目指す〉