いま、年金の受給開始年齢を「75歳」にしようとする計画が検討されている。75歳受給開始になれば、どれだけ受給額が減らされるのか、元を取れる年齢はいつになるのか。政府・自民党がいくら「働ける元気な高齢者を支援する」といっても、75歳まで年金がなければ高齢者はいっぺんに生活苦に直面する。
年金の受給開始年齢引き上げはいつから始まるのか。社会保険労務士の北村庄吾氏は「政府は東京五輪前年の2019年までに引き上げたいと考えている」と指摘する。
「公的年金支給を遅らせる場合、その間の生活補填の仕組みが必要になります。政府は今年1月から雇用保険の対象を65歳以上に拡大し、職を失えば失業給付を受給できるようにした。その保険料徴収が猶予期間を経て2020年から始まる。雇用保険料を取って年金支給も遅らせるといえば高齢者の怒りが一層強まる。だから五輪景気がピークになる2019年に、国民の五輪ムードのドサクサの中で年金支給開始年齢を引き上げるのではないか」
年金の受給開始年齢引き上げは段階的に行なわれると見られるが、東京五輪前となると、65歳の受給開始を控えた60代が最初のターゲットになる。