病院への投資も検討されている。国土交通省は「病院等を対象とするヘルスケアリートの活用に係るガイドライン検討委員会」を開催し、検討を重ねている。ヘルスケアリートに組み入れられることは、病院側のメリットも大きい。セル&リースバックが利用できるからだ。
これは、病院を売却した後、賃貸契約を結んで利用を続ける方法だ。病院側は、資産効率を向上させることができる。
ただ、病院関係者の反対も強いという。通院患者や入院患者に不安を抱かせることになりかねないからだ。
インフラファンド市場が東証にオープン
東京証券取引所は4月末、インフラファンドの上場市場を開設した。リート市場とは別の市場で太陽光発電設備や空港、鉄道、水道などのインフラを投資対象とした市場だ。すでにいちごグループホールディングスが太陽光発電を中心とした再生エネルギーファンドの上場を目指している。いちごグループホールディングスの子会社、いちごECOエナジーは、メガソーラー事業(大規模太陽光発電事業)を全国で展開している。
マンションデベロッパーのタカラレーベンもインフラファンド市場での上場を目指している。同社はメガソーラー事業も手掛けており、19年3月期の稼働目標をこれまで100MWから130MWへ上方修正している。
リスク・リターンの効率を高める方法とは
こんなレポートも公表された。ニッセイ基礎研究所金融研究部の岩佐浩人氏は「Jリート市場のボラティリティを考える」の中で、Jリートはボラティリティが高い時期とそうでない時期があり、その時期に合わせて投資戦略を考えれば、リスク・リターンの効率が高まる可能性がある、とした。
Jリートは分配金が魅力だが、ボラティリティも高い。03年4月から15年3月のJリート市場のボラティリティは、年23 ・2%で同期間の国内株式の22・1%を上回ったという。
ボラティリティ(期間100営業日、年率)が20%を超える期間を「高ボラティリティ期」、それ以外を「通常期」とすると、リート市場が誕生してからこれまでの間に「高ボラティリティ期」は3回、出現しているという。
1回目は、不動産ミニバブルとその後の金融危機(2007年3月~2010年4月)」、2回目は東日本大震災(2011年3月~8月)、3回目は日銀の金融緩和(2013年4月~11月)」。これらはいずれもJリート市場の内部要因ではなく、外部環境が大きく変わったことが大きい。
一方で「通常期」は全体の3分の2の期間を占め、ボラティリティの平均は14・2%だった。
そこで通常期は「Jリート100%」、高ボラティリティ期は「Jリート70~100%、現金30~0%」とするポートフォリオをシミュレーションした。過去12年間のリスクとリターンを計算すると、「高ボラティリティ期」には、現金の比率を高めるほど、リターンが高まり、リスクが下がる傾向にあったという。
Jリートの投資では、「通常期」と「高ボラティリィ期」を見極め、資産配分を調整するのがリスク・リターンを安定させるコツというわけだ。
※「マネーポスト」2015年夏号に掲載