介護が必要な高齢者の治療などにかかる費用を、社会全体で支える介護保険制度。その介護保険料が2017年8月から改定された。介護保険で支払われる給付費は、50%を国や市町村が負担し、残りの50%を給付の対象であるわれわれ国民が負担する。国民負担分の内訳は、介護保険制度における65歳以上の第1号被保険者が22%、40~64歳の第2号被保険者が28%だ。8月に改定されたのは、現役世代にあたる第2号被保険者が支払う保険料である。
そもそも、第2号被保険者の保険料は、各自が加入している健康保険組合などの医療保険として支払われている。この医療保険は、サラリーマンの場合は、加入している健保組合あるいは協会けんぽを通じて負担をしている。公務員の場合は共済組合になり、自営業者などは国民健康保険となる。改定されるのは、国民健康保険を除く、健保組合、協会けんぽ、そして、共済組合の加入者の保険料である。
これまで、上記の第2号被保険者の介護保険料は、それぞれの組合や協会に加入している「人数」に応じて、市町村や区が定めていた。それを、各組合や協会の加入者の「報酬の合計」に応じて決めるというのが、今回の改定のポイントである。報酬というのは、加入者が勤務している会社からもらっている給料とボーナスのことだ。この報酬の合計で決める仕組みを「総報酬割」という。
保険料を引き上げるかどうかは各健保の判断
この総報酬割が導入されるとどうなるか? 給料やボーナスが比較的高い人が多く加入する組合や共済の負担が重くなることになる。逆に、給料やボーナスが比較的低い人が多い組合や共済の負担は軽くなる。厚生労働省の試算によると、負担が重くなる人は1272万人で、負担が軽くなる人は1653万人になるという。健保組合と共済の加入者の負担が重くなるケースが多く、協会けんぽの加入者は軽くなる見通し。これは、協会けんぽの加入者は、ほとんどが中小企業のサラリーマンであることに起因している。