ブラック企業も真っ青の事態だったが、Aさんがさらに怯えることになったのは、“面白くなかったらギャラがもらえない”というプレッシャーだ。
「ある先輩芸人が、ライブで全くウケなかったときのこと。先輩が舞台を降りた瞬間にマネージャーが飛んできて『お前らの来月のギャラは半額だ!』と叫んだんです。まさかそんなことが? と思ったんですが、先輩によると、本当にギャラが半分引かれていたそうなんです。しかも、その先輩はレギュラーの仕事もあったので、毎月ギャラが支払われるはずなのに、『舞台でウケない』というほかに『声が小さい』とか『元気がない』といったナゾの理由をつけられ、ギャラを全額カットされた月も何回かあったそうです」
極めつけの“事件”は、Aさんが芸人を辞めた3か月後に起こった。
「急に元マネージャーから電話がかかってきて、『あなたにギャラを払い過ぎたので3万円返してください』と言われたんです。少なすぎるギャラで苦しい生活を強いられていたのに、いったいいつ“支払われ過ぎた”のか……。そのマネージャーに『いつどの仕事でどう払い過ぎたのか、詳細を文書で送ってください』と申し出たところ、その後一切連絡がなくなりました」
Aさんは、「何に使われたのかはわかりませんが、恐ろしい話です」と振り返ったが、芸人のギャラに関しては、こうした理不尽なエピソードに事欠かないようだ。