アベノミクスの成長戦略の中核に位置づけられているのが「健康長寿社会」という言葉だ。
「日本は世界に冠たる平均寿命の長い国になったものの、『健康寿命』は平均寿命より6~8歳低いと言われている。私が目指すのは、同じ長寿でも病気の予防などに力を入れることで、健康な体の維持を重視する社会だ」(2013年4月19日安倍晋三・首相の「成長戦略スピーチ」)
「健康寿命」は自立して健康に生活できる年齢のことで、日本は男性71.19歳、女性74.21歳(内閣府の平成28年版高齢社会白書)で世界トップレベルだ。この健康寿命をもっと長くするから、75歳まで年金を我慢して働き、“夢の割り増し年金”をもらいましょうと言いたいのだ。
年金繰り下げ制度が改定され、75歳受給が選択できるようになれば(現行では70歳まで)、夫婦2人の標準世帯で年間約266万円(65歳受給の場合)の年金額が489万円まで大幅に割り増しされる計算だ。年金ざっと500万円なら夢のような老後に思える。頑張って75歳まで働こうと考える人が増えるだろう。