「余裕資金はありますか? それはいくらですか?」と聞かれて、すぐに答えられる人はどのくらいいるでしょうか。資産運用を始めようとすると、マネー雑誌でも、書籍やウェブサイトでも、金融機関の窓口でも、「資産運用は余裕資金でやりましょう」とまるで判を押したように言われます。
しかし、それは本当に正しいのでしょうか? わかっているようでわかっていない、この「余裕資金」という言葉。資産運用はどのようなお金で行うべきなのか、そもそも余裕資産とはどんなお金なのか。意外と語られることのないこの問題について考えてみたいと思います。
いつまでも資産運用できない理由
資産運用に取り組もうとすると、マネー雑誌などには必ず「資産運用は余裕資金でやりましょう」という一文を見かけます。
金融機関の窓口に行って資産運用に関する商品の案内を受ける際には、目的やリスク許容度を確認するためにアンケート形式の質問に回答することになります。そこでも必ず「運用する資金は余裕資金ですか?」というような質問があります。どうしてなのでしょう?
それは、資産運用で利用する投資商品には損をしてしまう可能性があるからです。場合によっては、投資した資金が半分以下になってしまうかもしれません。そんなリスクのある商品に生活資金をつぎ込むのは、無謀と言われても仕方ないでしょう。だから、「余裕資金で」となるのだと思います。
しかし、資産運用で利用する商品には、価値が半分になってしまうような、大きな損失が発生する可能性のある商品ばかりではありません。
それなのに「資産運用は余裕資金でやるものだ」と決めてしまうと、いつまでたっても資産運用を始められなくなります。事実、「自分には余裕資金なんてないから資産運用は考えられない」と言う人もたくさんいます。
日本証券業協会が行った「個人投資家の証券投資に関する意識調査報告書」という調査でも、20代・30代の人たちが有価証券への投資を行わない理由として、「なんとなく怖い」「ギャンブルのようなものだと思う」に次いで「まとまった資金がない」と答えています。
もちろん、投資とギャンブルは大きく違いますし、まとまった資金がなくても資産運用に取り組むことは可能です。騙されたり、おかしな商品をつかまされたり、いきなり大きな損失を出さない程度の最低限の知識を学び身につけていれば、十分です。
まとまったお金がなくても、お金を貯めるためにも、早くから少しずつ資産運用を始めるべきだと思います。たとえば投資信託であれば、毎月500円から資産運用が始められます。